十二支

 

 

 

 むかし、ある年のくれ 神様はどうぶつたちに おふれをだしたんだと。

 

「正月の朝、ごてんにくるように。 きたものから12番までじゅんばんに 1年ずつ、その年の大将にする。」

 

さあ、どうぶつたちは じぶんこそ1番のりだとおおさわぎしたと。

 

「ちょいと ちょいと ねずみどん。」

 

「なんだい ねこさん。」

 

「神様のところに あいさつにいくのは いつだったっけ?」

 

「あれ、ねこさん わすれたのけ? あんまりはしゃぐからだよ。 あのね、正月の2日だよ。」

 

ねずみはわざと1日おくらせて おしえたと。

 

うしは まえの晩から ごそごそしたくをしたんだと。

 

「あれ、もうでかけるのかよ、うしさん?」

 

ねずみがきいた。

 

「ああ、わしはのろいからね。 今から行けばちょうどええ。」

 

それを聞くと、ねずみはこそっと うしのせなかにとびのった。

 

うしのせなかは ゆうら ゆらゆら。

 

ゆりかごのようで、ねずみはうつらうつら・・・。

 

やがて あさになり、ごてんの門が ぎぎぃ とあいた。

 

門のまえで待っていた うしが、

 

「よいこらしょ。」とたちあがった。

 

すると、ねずみがちゃっかりとびこんだ。

 

「1番のりだ!」

 

やれやれ、うしは2番だったと。

 

とらは 足のはやいのが じまんさね。

 

でも、まえの晩から門のまえにいた うしやねずみには かなわねえ。

 

うさぎも足は はやい。

 

いざとなったら だれにもまけるもんか。

 

ゆうゆうとでかけたけど、これが油断というもの。

 

1番にはなれなかったんだと。

 

「わしは地面をごそごそするのは ごめんだね。 いつものように 雲でいく。

へびどん、いっしょに いかんか?」

 

たつがへびにいった。

 

「わたしも みんなの通るみちは ふんづけられそうで いやだ。 でも雲はもっとおっかねぇ。」

 

へびは草むらのわき道を するする いったんだと。

 

うま、ひつじ、きつね、しか、おおかみ、りす、かめ、いたちは、いっしょに出発したんだと。

 

でも、おたがいに ぶつかったり つまづいて ころんだり・・・。

 

そこを うまくすりぬけて ごてんについたのは うまとひつじだけだった。

 

「いぬどん、やーい。 どこさいくだ?」

 

「おっ さるどんか。 どこって おめえさんとおんなじところだ。」

 

「ほっ、そうか。 ごてんか。 いっしょにいくべ。」

 

「やんだ。 おめえはすぐ ひっかくだもの。」

 

「なにを! いぬどんこそ すぐかみつくでねえか!!」

 

「まてまて、おめえたち。 正月そうそう けんかなんか すんな。」

 

止めに入ったのは にわとり だった。

 

「ごてんさ いくんだべ。 なかよくいけねえのかよ。」

 

いぬとさるをならべると すぐけんかするので、あいだに にわとりが入って ごてんにいったんだと。

 

いのししも はやいのなんの・・・。

 

ところがいのししは びり だったんだと。

 

「ほんとうは とらどんの次ぐれえには はいれたのになぁ。 ごてんのまえをとおりすぎてしまったんだよ。」

 

いのししがとびこんで12のあたまかずがそろったところで、ぎぎぎぃと門はしまったんだと。

 

「おお。あつまったか。 ごくろう ごくろう。 では、やくそくしたとおり、1番はねずみ。

それから、うし とら うさぎ たつ へび うま ひつじ さる にわとり いぬ いのしし ときめよう。」

 

と 神様がいったんだと。

 

これが 十二支のはじまりってわけだ。

 

さて、ねこは 次の日、ごてんにでかけて門をたたいたんだと。

 

「なんだ いまごろやってきて、おそい おそい。」

 

神様に笑われた。

 

「さては ねずみのやつ、うその日をおしえたな。」

 

それいらい、ねこはねずみを見ると 追いかけるようになったんだと。